滞納者がいる物件の売買
家賃滞納がある状態の物件でも、売買自体を行うことは可能です。ただし、実際に売買を行う際には、契約書での特約内容(賃料債権の扱いなど)を慎重に調整する必要があります。売主については、買主への告知(滞納者がいること)を怠った場合、のちに法的トラブルへと発展することもあるので注意しましょう。
当ページでは、家賃滞納者付き物件の売買におけるリスクと対処法について解説しています。
家賃滞納中の物件は売却できる?
原則として売却は可能
家賃を滞納している入居者がいる場合でも、物件そのものの売却は可能です。所有権の移転は賃貸借契約とは別の問題であり、法律上は制限されません。
ただし、滞納者が居住中である場合は、買主が入居者トラブルを抱える可能性があります。そのため、買主がリスクを理由に価格交渉を行うケースも少なくなく、実際の売却価格は想定より下がる可能性もあるでしょう。
買主への告知義務とトラブルのリスク
売主には、入居者の滞納状況など取引に影響する事実を正確に伝える「告知義務」があります。そのため、滞納期間や金額を明示せず売買契約を結んだ場合、のちに契約不適合責任を問われる恐れがあるのでご注意ください。
仮に、意図的にトラブルを告知しないまま物件を売却した場合、買主から損害賠償請求や契約解除を求められる可能性があります。売買をめぐるトラブル回避のためには、正確な情報の告知が欠かせません。
売買契約書に盛り込むべき特約とは?
滞納者付きの物件を売買する際には、必要な特約条項を契約書に明記しておくことが重要です。
盛り込むべき特約の例としては、たとえば滞納状況と現況引渡しに関する条項、賃料債権の「清算・放棄・譲渡」に関する条項、敷金と滞納家賃の相殺に関する条項などです。条項の法的文言は弁護士に相談すると確実です。
滞納者がいる物件を購入してしまったら?
新オーナーでも、入居者が家賃を長期間滞納している場合は契約を解除できます。
解除の判断は滞納の期間や回数によりますが、おおむね2〜3か月以上が目安とされています。
解除を行う際は、まず内容証明郵便で支払いを求め、それでも改善されない場合は明渡し訴訟を提起する流れとなります。
新所有者であっても法的手続きが必要であり、独自判断での強制退去は避けるべきです。
滞納を理由に契約解除できるか?
新オーナーであっても、旧オーナー時代から続く家賃滞納があれば、その滞納期間や回数を根拠とし、入居者へ契約解除を求めることが可能です。滞納期間の目安は、おおむね2~3か月とお考えください。
入居者へ契約解除を求める場合には、まず内容証明郵便にて支払督促を行います。それでも状況が改善しない場合、明渡し訴訟へと進む流れとなります。
なお、契約解除と退去は、あくまでも法的手続きを踏まえて行うものです。新オーナーであれ前オーナーであれ、独自判断で強制退去を求めることはできません。
家賃滞納付き物件の売買に関する注意点
敷金と滞納賃料の精算方法
家賃滞納付き物件の売買に際しては、滞納している入居者から預かった敷金を充当する形で滞納分を補填することが可能です。
ただし、敷金は本来、退去時の原状回復費用や未清算分の賃料に充てる性格の預り金です。そのため、入居中の滞納補填に使用した場合、退去時の敷金精算に影響する恐れがあるため注意が必要です。
敷金を滞納分へ補填する場合には、のちのトラブルを防ぐため、敷金の充当に関する明確な取り決めを書面にて残すようにしましょう。
決済時の賃料債権の扱い(精算・放棄・譲渡)
滞納が続いている場合、どの賃料債権を誰が保有するかを明確にしておく必要があります。
一般的には、物件決済日までの債権は売主、以降に発生した債権は買主の権利とされます。ただし、この区分を契約書で明記しないまま取引を進めると、債権の帰属を巡るトラブルへ発展しかねません。
トラブルを防ぐためには、売買契約書で「精算・放棄・譲渡」のいずれを適用するかを明確に定めることが重要です。
売買契約書の文言がトラブル防止のカギ
家賃滞納付き物件では、契約書の文言一つでリスクの大きさが変わります。特に特約条項の内容はリスク要因に大きく関与するため、弁護士など専門家と相談しながら慎重に作成することが望まれます。仮に「現状引渡し」との記載があっても、滞納や告知漏れがあれば免責とならないケースもあるので注意しましょう。
契約書における曖昧な表現や抜け漏れは、のちのトラブルにつながる可能性があります。専門家を通じ、法的観点から最終確認を受けておくようにしましょう。
家賃滞納物件の売買は、専門家への相談が安心
家賃滞納がある物件の売却・購入は、どちらの立場でも法的なリスクを伴います。特に、売主が買主に対して滞納の有無や金額などを正確に告知しなかった場合、のちに契約不適合責任を問われる恐れがある点に、十分注意しましょう。
また、賃料債権の帰属や契約解除の可否は、契約書の内容によって異なります。買主は、滞納者に対する判断を誤らないよう、契約書の内容をしっかりと把握しておくことが重要です。
これらの複雑な問題を避けるためにも、契約前に弁護士へ相談し、契約書の内容や法的手続きの流れを確認しておくようにしましょう。
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