滞納の催促で事態を悪化させないために
家賃を滞納している借主に対し、家主はどのような方法で支払いを促すべきでしょうか。法的に正しい催促方法と、注意点をまとめました。
滞納家賃を催促するための手段
家賃滞納に対処する際には、滞納の程度や段階に応じて手段を選び、また相当な方法を逸脱しないようにすることが重要です。
1. 口頭での督促
滞納が始まったごく初期の段階では、電話や直接的な会話を通じて友好的に支払いを促します。これにより、滞納の理由を確認することができ、相手の支払計画についても把握しやすくなります。
2. 書面による督促状の送付
口頭での督促によっても解決しない場合は、書面で督促状(催告書)を送付します。この督促状には、以下の内容を明確に記載しましょう。
- 滞納されている家賃の金額
- 支払い期限
- 支払いがない場合の法的措置
内容証明郵便で送付することで、送付と受領の証拠を残すことができ、後の法的手続きで役立ちます。
督促状の例文
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、貴殿が現在居住されている[物件の住所]につきまして、以下の期間の家賃が未払いの状態となっております。
滞納期間:[滞納開始日]から[滞納終了日]まで
滞納額:[滞納額]円
本契約に基づき、家賃は毎月[支払い期限]までにお支払いいただくことになっておりますが、上記の通り、現在までに家賃の支払いが確認できておりません。
つきましては、貴殿におかれましては、上記滞納額について、本通知書到着後[支払い期限、例:7日間以内]に全額を下記の口座にお振り込みくださいますようお願い申し上げます。
【振込先情報】
銀行名:
支店名:
口座種別:
口座番号:
口座名義:
万一、期限内に滞納額のお支払いがない場合、私どもとしましては残念ながら法的手続きをとらざるを得ません。その場合、追加の費用が発生する可能性があること、また、信用情報機関への情報登録等の措置が取られることがありますので、予めご了承ください。
貴殿がこの件についてご不明な点やご相談がある場合は、下記連絡先までお気軽にご連絡ください。速やかなご対応をお願い申し上げます。
敬具
[家主の氏名]
[連絡先電話番号]
[メールアドレス]
---------------------------
督促状のテンプレートはウェブサイトからダウンロード可能です。
3. 保証人への連絡
借主に保証人がいる場合、保証人にも状況を伝え、支払いを求めることができます。
4. 和解交渉
借主との間で、支払い計画の再調整など、和解に向けた交渉を試みます。一時的な支払い猶予や分割払いを提案することも有効です。ただし、相手が滞納に陥った理由が一時的な資金不足ではない(例えば失職など)場合は、分割払いの約束は問題を先送りするだけになる場合がありますので、注意が必要です。
5. 調停の利用
裁判所での訴訟前に、**調停**を利用して問題解決を図る方法もあります。しかし、調停は時間がかなりかかる割には、相手との合意に至らなければ何も約束ができずに終了することが多いです。ほとんどの案件では、滞納が2カ月以上になった場合は、訴訟提起が、結局は有効な解決策となります。
6. 裁判所への訴訟提起
交渉や調停が不可能な場合は、最終手段として建物明渡請求訴訟を提起し、法的に退去を求めます。
不払い借主とコミュニケーションを取る際の注意点
コミュニケーションの目的を明確にする
対話を始める前に、「家賃回収」「支払い計画の再調整」など、目的を具体的に設定しましょう。
事前準備(情報の整理と記録)
未払い家賃の詳細、過去の督促記録、賃貸借契約書など、関連情報をすべて整理しておくことで、正確なコミュニケーションが可能になります。
相手と対話が難しい場合
留守が多いなどの理由で連絡が取れない場合は、内容証明郵便やメール、メッセージアプリなどでの連絡を試みましょう。ただし、記録を残すことが重要です。
NGコミュニケーションは「自力救済」
「自力救済」とは、法的手続きを経ずに、家主が自力で問題を解決しようとする行為です。これは法律で禁止されています。訴訟までは適法に進めたとしても、判決内容の実現に正規の手続(執行官による明渡の実現)を経ないで明渡を実現する場合も自力救済として、禁じられています。
- 家賃滞納に対する自力救済の例:
- 借主の同意なく物件に侵入する
- 借主の留守中に鍵を交換するなどして物件の利用を妨げる
- 電気・水道などのライフラインを意図的に停止する
- 借主の荷物を無断で撤去する
- 脅迫的な言動で支払いを強要する
家賃滞納が続いても感情的にならず、法的な手続きに沿って冷静に対処することが大切です。
訴訟から強制退去までの流れは、ウェブサイトの別のページで詳しく解説しています。自力で行う場合と弁護士に依頼する場合の比較も掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
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賃貸借契約は貸す側・借りる側双方にとって重要性が高く、かつ関係が長期間継続することもあります。
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