管理会社は強制退去させられない
入居者が家賃を滞納し続けているのに、管理会社に任せても「連絡しました」という報告だけで一向に解決しない。そんなもどかしさを感じているオーナー様も多いのではないでしょうか。
ここで知っておきたいのが、管理会社には強制退去を実行する権限がないということです。当記事では、違法と認定されない適切な対応の手順をまとめました。
違法な「追い出し」は絶対NG!
滞納が長引くと、つい感情的に「追い出したい」と考えてしまうかもしれません。しかし、その場の感情で実力行使に出るのは非常に危険です。
入居者を退去させるには、内容証明による通知、訴訟提起、判決取得、そして強制執行という正式な法的手続きが必要になります。たとえ管理会社に強く要望しても、管理会社の権限でこの流れを省略して即座に退去させることはできません。
例えば、勝手に鍵を交換したり、部屋の荷物を処分したり、電気や水道を止めたりする行為は、すべて「自力救済」とみなされ違法となります。
こうした行動は、入居者から損害賠償や慰謝料を請求される可能性があるだけでなく、刑事事件に発展するリスクもあるため、決して行わないようにしましょう。
【段階別】スムーズに強制退去を進める3つのステップ
滞納初期(1~2ヶ月)
- 管理会社との連携
管理会社に督促を任せている場合であっても、まずはオーナー自身も状況を把握しておくことが大切です。具体的には、以下のような情報を定期的に確認しましょう。
- 督促の電話や訪問は実施されているか
- 入居者から入金予定日の約束は取れているか
- 入居者はどのような理由を述べているか
- 管理会社の対応範囲はどこまでか
- 次に打てる手段は何か
後々の法的手続きを見据え、週に1回程度、管理会社に経過を聞き取り、やりとりの日時と回答内容をメモに残しておくようにしましょう。
- 内容証明郵便の活用と弁護士への相談
督促を行っても滞納が解消されない際は、入居者へ内容証明郵便を送付します。
書面には未払い金額と支払期限を明記し、状況に改善がない場合の契約解除や法的手続きを検討する意思を伝えましょう。配達証明を付加することで、相手に到達した客観的な記録を残せます。
この通知は将来的な法的手続きの基盤となるため、記載内容の正確さが非常に重要です。
不備があると後の交渉や裁判で不利になる恐れがあるため、特に滞納が2ヶ月分以上に達している場合は、早期に弁護士へ相談することを推奨します。個人での作成も可能ですが、確実な証拠としての質を担保するためにも、専門職の知見を活用した対応が有力な選択肢といえます。
滞納中期(3ヶ月~)
- 契約解除の通知と有効性を高める弁護士相談
家賃滞納が3ヶ月分程度に及び、催告後も支払われない場合は、信頼関係が破綻したと判断し契約解除を通知する段階に移ります。通知書には、主に以下の事項を網羅する必要があります。
- 契約解除の日付
- 滞納している家賃の総額
- 支払期限
- 明渡しの要求
これらの記載事項や送付方法には厳格な法的要件があり、不備があると解除が無効とされる恐れがあります。手続きを確実なものとするためには、事前に弁護士へ相談し、内容の精査を受けることが推奨されます。後の証拠とするため、管理会社による督促の報告書も整理したうえで、通知自体は内容証明郵便で送付するのが実務的に適切な対応といえます。
- 「建物明渡請求訴訟」の準備
契約解除の通知を送った後も入居者が退去に応じない場合は、建物明渡請求訴訟を検討する段階に入ります。
訴訟に向けては、督促の経緯(日時・内容)、電話や訪問時のメモ、内容証明郵便の控え、賃貸借契約書、入金履歴(通帳のコピーなど)、室内の状況を撮影した写真や記録といった資料を整理しておきましょう。
早めに弁護士へ相談しておくと、争点の整理や手続きの流れ、必要な費用の見通しを立てやすくなります。
最終手段(強制執行)
- 裁判の決着
裁判の結果、建物明渡しを命じる判決が確定したとしても、入居者が退去しないケースは少なくありません。そのような場合に必要となるのが強制執行です。
ここで重要なのは、オーナーが自ら鍵を交換したり荷物を搬出したりするのではなく、裁判所を通じて執行官に明渡しを実行してもらうという点です。申立てには一定の費用がかかりますが、適正な手続きを踏むことで無用なトラブルを避けられます。
- 執行官が主催する強制執行の流れと明渡しの完了
強制執行は、裁判所への申立てを起点とし、執行官による現地確認や事前の催告、断行期日の設定を経て進行します。
当日は執行官が主催し、必要に応じて専門業者が室内の残置物を搬出して保管。最終的に鍵の引渡しまで執り行われます。オーナーが単独で入居者と交渉する必要はなく、法的な手続きに則って粛々と進められる体制が整っています。公的な権限に基づく最終的なプロセスを経て、物理的な物件の明渡しが完了します。
問題解決に強い会社を見つけるには?
今の管理会社が十分に動いていないと感じたら、まず委託契約の内容を見直し、「どこまで任せられるのか」を確認しましょう。
特に確認すべきポイントは、督促の頻度、訪問の可否、報告のタイミング、内容証明の発送代行、弁護士紹介の有無といった項目です。対応範囲が曖昧ならば改善を求める交渉を行い、それでも状況が変わらない場合は、契約の見直しや解除も検討する必要があります。
また、入居者とのやりとりの履歴を文書で残す運用がされているかも重要なチェックポイントです。後々のトラブルを避けるためにも、記録がしっかり残る体制が整っているかどうかを確認しておきましょう。
現在の管理会社との契約を解除して新たに管理会社を探す場合は、滞納対応の実績、弁護士との連携体制、適切な対応に向けた段取り設定の有無、明瞭な費用体系などを基準にして選ぶと良いでしょう。
滞納問題は、大家さん自身が「主導権」を持つことで解決する
家賃滞納が長引くと、どうしても焦りが募ってきます。しかし、そこで鍵を交換したり荷物を勝手に処分したりする自力救済は絶対に行ってはいけません。違法な対応をとってしまうと、家賃を回収するどころか、逆に損害賠償請求を受けるなどのリスクが生じ、かえって損失を拡大させる結果になりかねないからです。
まずは、滞納の段階に応じて督促→通知→訴訟→強制執行へと進める「主導権」をオーナー自身が握ることが重要。管理会社は実務面でのサポートはできるものの、強制退去の最終決定や執行の主体となることはできないことを理解しておいてください。
家賃滞納が続いた場合、できる限り早い段階で弁護士に相談しておくことがおすすめです。弁護士に相談すれば、契約解除が可能かどうかの判断、手続きの進め方、家賃回収の見込みなどを的確に整理することができます。状況が悪化する前に、専門家の力を借りて大家の主導権を取り戻しましょう。
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