マンスリーマンションの家賃滞納
マンスリーマンションが短期契約だからといって、家賃トラブルと無縁というわけではありません。延長利用の途中で支払いが滞るケース、法人契約で担当者が変わったタイミングで入金がストップするケースなどは、実際に起こり得ます。滞納を放置すれば、回収不能や不法占拠といった深刻な事態に発展するおそれがあることに注意しましょう。
当ページでは、マンスリーマンションにおける家賃滞納の主なケースと初動対応、および滞納を未然に防ぐための対策について解説しています。
家賃滞納が発生する主なケース
延長手続き中の入金遅れが起こるケース
短期利用から延長へ切り替わるタイミングは、滞納が発生しやすい場面です。入金確認前に延長を認めてしまうと、支払いが遅れたまま利用だけ継続する形になりやすく、結果として未収金が膨らむおそれがある点に注意しましょう。
法人内の決裁フロー遅延のケース
法人契約では、担当者の異動や部署間の連絡不足などにより請求書が正しく処理されないこともあります。承認プロセスが長引けば、オーナー側が想定する入金予定日と法人側の実際の振込時期にズレが生じ、滞納に近い状態となるケースも考えられます。
決済エラー後の放置で発生するケース
個人契約では、クレジットカードの有効期限切れや残高不足、口座引き落としの設定ミスといった理由で決済がエラーになることもあります。利用者がエラーに気づかない場合、あるいは対応を後回しにした場合、そのまま家賃滞納としてカウントされ続けることになります。
無断延長・居座りによる事実上の不法占拠
契約期間が終了しているにもかかわらず、物件から退去せずに滞在を続けるケースも見られます。延長の意思表示も入金もないまま利用だけが続く状況は、実質的な無断延長となるため、不法占拠に近い状態へ発展する可能性もあります。
マンスリーマンションの契約形態と家賃支払いの特徴
短期利用が前提となる定期借家・宿泊契約型
マンスリーマンションとは、一般の賃貸物件と異なり、短期利用を前提として設計された物件です。契約期間の満了とともに自動的に終了する仕組みが大きな特徴のひとつです。
契約形態としては定期借家契約や一時使用目的の賃貸借として扱われることが多く、素泊まりに近い宿泊契約として運用されるケースも見られます。
家賃は入居前にまとめて前払いとなるのが原則
マンスリーマンションの賃料は、原則として前払いです。これは滞納リスクを抑えるための方策で、1か月単位または利用期間分の一括払いが主流となります。
入居前に家賃・清掃費・事務手数料などをまとめて支払う形が一般的で、振込やクレジット決済を選べる場合もあります。
支払い方法と延長条件を契約書で明文化しておく
法人契約・個人契約を問わず、支払い方法や期限、延長時の条件を契約書に具体的に盛り込んでおくことが重要です。いつまでに、どのような方法で支払うのか、未入金の場合は利用停止や契約終了とするのかという点を明文化しておくことが、トラブル発生時の運用基準になります。
家賃を滞納され、居座られた場合にまずすべきこと
連絡手段の確認と証拠化
家賃の滞納が始まった場合、まずは入居者への連絡手段を確認のうえ、本人に連絡を取ります。連絡手段としては、電話よりも、LINEやメール、書面などが有効です。さらなるトラブルへ発展した際の法的証拠として残るからです。
なお、連絡に際して感情的になることは禁物です。落ち着いて、冷静に事実確認を進めるようにしましょう。
内容証明による督促・契約解除通知
本人へ連絡しても事態が好転しない場合には、内容証明郵便で正式に督促を行います。内容証明郵便には、支払期限や契約解除の旨を明記するとともに、これまでの通知内容の経緯も記載するようにしましょう。
決して実力行使に踏み切らず、まずは書面にて法的な手続きの準備を進めることが重要です。
法的手続きでの対応
入居者に居座られても、法的な手続きを進めることで退去させることは可能です。一般的には裁判所を通じて明渡し請求を行い、判決や和解を経て強制執行に至る流れとなります。感情的な行動に出ず、法にのっとった適切な手続きを進めましょう。
定期借家契約の場合のポイント
マンスリーマンションでは、契約形態の多くが定期借家契約にあたります。定期借家契約は「契約期間の満了」により自動的に終了する仕組みで、通常の賃貸借契約と異なり、「正当な事由」がなくても退去を求められる点が特徴です。
この特徴を活かすべく、まずは契約書に入居期間や退去条件などを明記しておくことが大切です。この記載が、のちのトラブル解消に向けた法的根拠の1つとなります。
実力行使のリスクと違法性
家賃を滞納したまま居座りを続けられた場合、通常、大家は腹が立つでしょう。その気持ちはよく理解できますが、感情に任せて勝手に鍵を交換したり荷物を撤去したりする行為は禁物です。
大家といえども、これらの実力行使は法的に「自力救済」とされ、民法上、不法行為として損害賠償の対象になる恐れがります。
退去を強制する場合には、裁判所の判断を経て、必ず執行官立ち会いのもとでの強制執行を行わなければなりません。
警察に相談できるケースは限られる
家賃滞納や退去拒否といった居座りトラブルについて、警察に相談しても対応してくれる可能性は低いと考えましょう。
警察は暴力や脅迫、不法侵入などの犯罪行為に対して動くことが原則であり、基本的に民法上のトラブルには対応していません(民事不介入)。家賃滞納等のトラブルについては、警察よりも弁護士が適切な窓口となります。
事前にできるリスク対策とは?
契約内容を工夫する
契約書の中に、「更新なし」「期間満了時は退去する」という旨の条件を明記しておくことが大切です。契約書内での明文化があれば、退去拒否を防ぐ一定の効果が期待できるからです。
あわせて、家賃滞納時の契約解除条項を特約として加えるなど、滞納や退去拒否を防ぐための工夫を行いましょう。
審査時のチェックポイント
契約段階において、本人確認書類や勤務先、保証人などを確認しておくことも重要です。
長期入居を前提としていないマンスリーマンションとはいえ、これら基本的な属性の確認を軽視した場合、大きなトラブルに発展しかねません。信頼できる入居者であるかどうかを確かめてから契約へと進みましょう。
保証会社の活用と契約形態の見直し
家賃滞納リスクを抑えるためには、保証会社の利用も効果的です。保証会社を通じた契約であれば、滞納時に家賃の立替払いを受けられるため、損失を最小限に抑えられるからです。
また、定期借家契約と法人契約を組み合わせるなど、契約形態の見直しも有効です。複数の契約を並行させて、運営の安定化を目指しましょう。
トラブル時の相談先
万一、入居者とのトラブルが発生した場合には、早めに専門家へ相談することが大切です。管理会社や保証会社で対応できるケースもありますが、法的問題へ発展する可能性がある場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。
弁護士が介入すれば、明渡し請求を含めた以後の交渉の流れが明確になり、早期解決へとつながる可能性が高まります。
まとめ|対応に迷ったら早めに弁護士へ相談を
マンスリーマンションでの家賃滞納や居座りトラブルは、時間が経てば経つほど解決が難しくなるものです。そうとはいえ、早期解決のために感情的な対応をしたり、自己判断で強制退去させたりすると、逆に損害賠償を求められる恐れがあるので注意しましょう。
トラブルが発生した場合は、速やかに弁護士へ相談するのが解決への近道。専門家を介入させることで、被害を最小限にとどめながら早期解決を図りましょう。
家主様の味方です
家主様の相談を受ける
赤坂見附法律事務所では、私・水田 匡之が不動産賃貸関係のトラブル(家賃滞納、契約違反)を積極的に取り扱っております。
賃貸借契約は貸す側・借りる側双方にとって重要性が高く、かつ関係が長期間継続することもあります。
その結果、トラブルが生じた場合の損害・影響は大きく、他の分野に比べても、迅速・適切な解決が求められます。
ぜひ、家賃滞納でお困りの家主様はご相談ください。
家主様による相談は無料です。全国で最短翌日対応しておりますので、ご安心ください。