建物明渡請求訴訟を弁護士にお願いしたときの流れや費用
建物明渡請求訴訟の流れ
弁護士相談~訴訟前交渉まで
建物明渡請求訴訟を提起する前に、賃貸借契約の解除通知などの文書を送っておく必要があります。滞納が生じた時点で早期に弁護士に相談し、提訴する際に必要となる手続や証拠の準備をしてもらうことが望ましいです。
現在、裁判はオンラインで開かれることも多く、弁護士への相談もオンラインで可能です。相談は無料にしている法律事務所もありますので、何件か相談してみると良いでしょう。
具体的な弁護士の選び方としては、「不動産トラブルの経験が豊富」「スケジュールや費用について明確に答えてくれる」といったポイントがあります。
訴訟を提起する前に、和解の可能性を探るための交渉を行う場合もあります。
支払い計画の見直し・支払金額の一部減額という内容で合意できれば、訴訟を提起することなく問題を解決できることがあります。
もっとも、安易に和解をすると、滞納額が拡大することが非常に多いです。多くの滞納者は、支払計画を見直しても、再度滞納に陥ります。
明渡しを求めることが、家主にとっては最良の選択となることが多いです。弁護士には、和解か訴訟か、その見極めについてアドバイスを求めるとよいでしょう。
一時的な収入の減少で、滞納の原因が解消しているなど、和解が望ましい一部のケースの場合は、合意内容の書面化などについてサポートしてもらうと良いでしょう。和解は難しいと考えられる場合、訴訟提起を含む次のステップに移行する準備を行います。
以下で流れを細かくご紹介しますが、弁護士に頼んでいたら、ほぼ皆さんが時間を使うような箇所はありません。
当メディアでも、3人のオーナーさんに取材をしていますが、皆さん口を揃えて「都度報告をもらっていただけで、気づいたら終わっていた」と話すほど。皆さんの体験談は以下のページでご紹介しています。
訴訟プロセス:提訴~判決まで
建物明渡請求訴訟の提起が決定したら、弁護士は裁判所に訴状を提出します。
裁判所は、賃貸借契約に定められている場合もありますし、法律上いくつかの裁判所から選べる場合もあります。物件所在地、家主の住所地、借主の住所地などの裁判所が候補となります。
提訴前の準備
提訴では訴状の他に証拠書類および添付書類を提出します。
一部の証拠は家主が弁護士に提出する必要がありますが、必要な書類さえ準備すれば、あとは弁護士が進めてくれます。
必ず必要な証拠というものはなく、ケースによって様々です。通常は以下のような書類・証拠を準備します。
- 賃貸借契約書
- 家賃が振り込まれる通帳のコピー、家賃領収台帳
- 家主から借主に送られた督促状、解除通知等
- 固定資産評価証明書
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
裁判を起こす際の訴状には、裁判所に求める判決(請求の趣旨)と、その理由(請求の原因)を記載します。
裁判の進行
訴状が裁判所に受理されると、裁判所で形式的な訴状審査があり、裁判所と原告側で初回の裁判の日を調整します。日程が定まった後に、裁判所から借主(被告)宛に、訴状及び期日呼出状が送付されます。
初回の裁判までに、借主側が訴状の内容に対する反論を準備し、裁判所に提出します。滞納等で契約違反が明らかな場合は、ほとんど反論もない場合も多いです。
指定された日時に裁判所の法廷で口頭弁論が開かれ、相手の反論に理由がないようであれば、即日結審(審理の終了)をします。
反論があり審理が必要な場合は次の裁判期日が三者間で調整されます。
その後、審理が継続する場合は、相手の反論や反証に対して、再反論をしたり、証拠を追加することとなります。弁護士は、家主の代理人として家主の主張を立証することに注力します。訴訟手続は弁護士が代理で行いますので家主が出廷する必要はありません。
判決
口頭弁論における家主・借主の主張を踏まえ、家主の主張が立証されれば、裁判所から明渡しを命じる判決が下されます。
滞納などで相手に反論の余地がない場合は、ほぼこの明渡しを命じる判決が出ると思っていいでしょう。
正式な判決書が双方に送付され、裁判は終了となります。なお、控訴期間が2週間定められており、厳密には2週間後に控訴がなければ確定となります。
判決後の対応
家主が勝訴した場合、判決に基づいて建物の明け渡しが実行されます。もし敗訴となった場合でも判決に従う必要がありますが、不服がある場合、判決の送付から2週間以内に上級裁判所へ控訴することが可能です。
訴訟プロセスにおける注意点
訴訟プロセスは、案件の複雑性や裁判所のスケジュールによって、期間が大きく変わる可能性があります。
また、裁判所の休廷期間(夏季休廷及び年末年始)や年度替わり(裁判官の異動時期)にかかる場合、若干必要な期間が長くなる場合があります。
判決後:強制執行とその手続き
家主が勝訴し、裁判所により建物の明渡しが言い渡されれば、借主は速やかに物件から退去しなければなりません。
しかし、借主が判決に従わないケースもしばしば見られます。
この場合、裁判所の執行官が物件から借主を退去させる手続き、いわゆる強制執行を行うことができます。判決の持つ効力のうち、最も重要なものが、この強制執行が可能となる効力です。
強制執行における注意点
強制執行は、明け渡し判決を実現するために認められた唯一の強制手段です。民事執行法等の法律に基づいて裁判所に申立てを行い、物件からの立ち退きを実現しましょう。
仮に判決が出ていても、不適切な行動(借主を強引に、あるいは不当な手段で物件から追い出したり、閉め出したりすること)をとると、違法な自力執行となり、刑事罰や慰謝料の対象となりますので、注意が必要です。
強制執行については裁判所の執行官への報酬や執行補助者(撤去・処分業者)の費用など、その他の費用が必要となります。
場合によっては非常に高額となります。事前に概ねの額を確認し、計画的な対応を心がけましょう。
水田 匡之
弁護士
強制執行も弁護士に依頼をしていれば、家主様が立ち会う必要はありませんのでご安心ください。
弁護士によるサポートの
重要性
明渡請求訴訟で弁護士が
果たす役割と選び方
訴訟のプロセスを専門的な知識で支援し、家主の権利を最大限に守る役割を果たす弁護士。
和解交渉や強制執行の手続きにおいても、家主の代理として適切に対応してくれる存在です。
訴訟を成功させるためには、この弁護士選びが非常に重要。
まず、賃貸不動産や建物明渡請求訴訟に関する専門知識を持っているか、この分野で豊富な実績があるかを確認します。
また、弁護士とは訴訟の進行に伴って密接に連絡を取り合う必要があるため、スムーズにコミュニケーションが取れるかどうか、問い合わせに対する対応が早いかどうかについてもチェックしておきましょう。
こまめに連絡をくれるか、現地調査なども全国どこでも対応してくれるか、などの細かい点も決して見逃せません。
そして、実はなにより大事なのは、依頼するあなた自身が好感を持てる人物か、信頼できるかどうかです。
どれだけ有能そうでも、なんとなく「いけすかない…」と感じるような人と、数ヶ月密に連絡を取ったり、大切な財産である家のことを任せるのは皆さんのストレスになりかねません。
さらに、成功報酬・時間単価といった費用体系が明確かどうかも重要なポイントとなります。
明渡請求訴訟にかかる
弁護士費用を確認
訴訟には、弁護士費用のほか、裁判所費用や証拠資料の作成費用など、さまざまな費用が発生します。
案件の複雑さや訴訟の期間によってトータルの費用は異なりますが、相場は以下の通りです。(当メディア調べ)
- 着手金:200,000~300,000円
- 報酬金:100,000~300,000円
- 事務手数料:30,000~50,000円
- 家賃回収の成功報酬:回収した家賃の15~25%
当メディア監修の弁護士法人赤坂見附法律事務所の料金例は以下の通りです。(実費は平均的な概算となります)
- 民事訴訟(着手金):110,000円(実費10,000~30,000円)
- 明渡強制執行(着手金):110,000円(実費10,000~30,000円)
- 明渡完了(報酬金):220,000円(実費:事案による)
依頼をする弁護士によって費用も変わってきますので、実績や依頼のしやすさなどを考慮しつつ、慎重に選ぶようにしましょう。
とくに実費は事前に知らされず、あとから「こんなにかかったの!?」と驚くケースも存在します。
赤坂見附法律事務所では、類似の事例を参照して見通しをお伝えするようにしているそうなので、そういった配慮があるような法律事務所かどうかも大事でしょう。
弁護士選びに関しては、以下のページでより詳しくご紹介していますので、ぜひ弁護士に依頼する前や、弁護士選びに悩んだ際にご一読ください。
よくある質問に
弁護士が回答!
成功率はどのくらい?
水田 匡之
弁護士
建物明渡請求の成功率は、個々のケースの詳細や、証拠の質によって大きく異なります。もっとも、家賃滞納などで違反が明らかな場合は、建物の明け渡しが認められることは多いです。
経験豊富な弁護士は、相談の時点でおおよその流れや結論について、ある程度は予測や評価ができるため、相談してみると良いでしょう。
私の場合は、多くの建物明渡請求を担当させていただいているので、どのような条件が揃っていれば建物明渡請求を認める判決が出るのか、経験上分かることが多いです。弁護士によっても、そういった理解度に違いが出ますので、注意してください。
気をつけることはある?
水田 匡之
弁護士
訴訟中は弁護士との密接なコミュニケーションを保ち、指示に従って行動することが重要です。もっとも、家賃滞納などで違反が明らかな場合は、建物の明け渡しが認められることは多いです。
また、新たな証拠や情報が見つかった場合は、弁護士に報告していただけるといいでしょう。
水田 匡之
弁護士
滞納家賃を回収できるかどうかは、借主の財政状況や物件の状態によって違ってきます。
明渡請求訴訟に勝訴しても、借主が支払い能力を持たない場合、実際の回収は困難になることも。
当事務所の案件では、調査の結果借主に父方の相続財産があることがわかり、相続財産の差押えを準備、通告しつつ交渉し、最終的には全額の回収となった事例があります。
家主様の味方です
家主様の相談を受ける
赤坂見附法律事務所では、私・水田 匡之が不動産賃貸関係のトラブル(家賃滞納、契約違反)を積極的に取り扱っております。
賃貸借契約は貸す側・借りる側双方にとって重要性が高く、かつ関係が長期間継続することもあります。
その結果、トラブルが生じた場合の損害・影響は大きく、他の分野に比べても、迅速・適切な解決が求められます。
ぜひ、家賃滞納でお困りの家主様はご相談ください。
家主様による相談は無料です。全国で最短翌日対応しておりますので、ご安心ください。
水田 匡之
弁護士
長期にわたって家賃滞納を続けている借主を、法的な手段で立ち退きさせるための手段が建物明渡請求訴訟です。
ここでは、建物明渡請求訴訟を弁護士に依頼した際の具体的な流れと、それぞれのプロセスにおける注意点などをまとめています。
ご自身で建物明渡請求訴訟を起こしたい方はこちらのページで情報を公開しております。