滞納者が引っ越したら?
当記事では、入居者が家賃を滞納したまま退去した場合の法的な問題、退去後の家賃回収方法、滞納状態のままの退去を防ぐ有効な事前対策などについて解説しています。
家賃を滞納したまま退去されたらどうなる?
賃貸契約は自動で終了しない
借主が家賃を滞納したまま退去しても、賃貸借契約は自動的に終了するわけではありません。契約は法的に継続しているため、滞納分の家賃請求や損害賠償の対象となる場合があります。オーナーとしては契約解除の意思を明確に示し、必要な手続きを経て対応することが求められます。
荷物が残っている場合の扱い(残置物問題)
退去後に入居者の荷物が残っている場合、オーナーが勝手に処分すると不法行為に該当するおそれがあります。
残置物へ対応するには、借主の所有権放棄を得るか、または明渡請求訴訟や強制執行といった法的手続きを経ることが必要。契約書の条項や内容証明による通知で処分可能と解釈されるケースもありますが、有効性には注意が必要です。
契約解除・明渡しの法的手続きの必要性
賃貸借契約を正式に解除するには、正当な解除理由と解除の解除意思を表示が必要です。通知を行っても入居者が居座る場合には、明渡訴訟を提起して解決を図らなければなりません。オーナーが自己判断で鍵を交換したり、荷物を撤去したりする行為は不当な自力救済にあたり、法的トラブルに発展するリスクが高い点に注意してください。
退去後でも家賃を回収する方法と流れ
入居者が家賃を滞納したまま退去しても、手続きを進めることで回収の可能性を残すことができます。状況に応じ、段階を踏んで適切に対応しましょう。
本人・連帯保証人に連絡をとる
まずは借主の携帯電話やメール、SNS、緊急連絡先などを通じ、本人に支払いを求めます。同時に、連帯保証人にも早めに事情を伝えることで、家賃回収の可能性を高めます。
内容証明郵便で督促・請求を行う
連絡に応じない場合は、内容証明郵便で請求を行い、法的措置を検討している旨を正式に示します。
記載すべき内容
文面には滞納額、支払期限、振込先を明記し、必要に応じて契約解除の意思表示も加えます。また「○日以内に支払がなければ法的措置に移行する」と明示することで、法的根拠のある請求であることを示します。
送付先が不明な場合の調査方法
送付先が不明な場合は、住民票の附票や登記簿で現住所を確認します。正当な理由があれば、弁護士や司法書士を通じて住民票を取得できるケースもあります。
訴訟を提起して請求する
内容証明を送っても支払いがなければ、訴訟を提起して滞納家賃や建物明渡を請求します。裁判によって債務の存在を確定させることが、次の段階へ進む前提となります。
強制執行による家賃回収や財産差押え
判決や仮執行宣言を得た後は、強制執行によって預貯金、給与、車などを差し押さえることが可能になります。勤務先や銀行口座が不明な場合は、裁判所を通じて弁護士や執行官に調査を依頼することも可能です。
家賃回収の手続きを進める上での注意点
勝手に部屋へ入ってはいけない(自力救済の禁止)
家賃を滞納された場合でも、オーナーが独断で部屋に入ることは許されません。また、鍵を交換したり、残された荷物を撤去する行為も原則として違法と判断されます。強制的な対応は、必ず裁判所の手続きを経て正当な強制力を得たうえで進めることが必要です。
連絡や請求の履歴は証拠として残す
督促や請求の記録は、後に訴訟や強制執行を行う際に重要な証拠となります。そのため、内容証明郵便の写しやLINE・メール等でのやり取りの記録は、必ず保管しておきましょう。証拠を積み重ねておくことで、裁判に発展した際にオーナー側の主張を裏づける力が強まります。
回収できない可能性も想定し、コストと効果を見極める
訴訟を起こしても、相手に資力がなければ家賃の全額回収に至らないかもしれません。裁判費用や手間、弁護士費用と回収見込みを照らし合わせ、法的措置の妥当性をよく検討してみましょう。
法的措置に踏み込む場合には、初期段階から費用対効果を意識しておく必要があります。
家賃を滞納されたまま退去される事態を防ぐには
入居者の審査を厳格に行う
滞納を未然に防ぐには、入居希望者の属性を丁寧に確認することが欠かせません。早急に空室を埋めたい気持ちは理解できますが、後々のトラブルを避けるためには、入居希望者の収入や職業、家族構成、過去の滞納歴といった基本情報をしっかり把握することが第一歩です。
信用情報や人柄、保証人の支払い能力まで確認すれば、将来的なリスクを見極めやすくなるでしょう。
家賃保証会社を活用する
入居審査だけではリスクを完全に排除できない以上、家賃保証会社の活用も検討してみましょう。
家賃保証会社を活用すれば、万が一滞納が発生しても、迅速に代位弁済が行われます。滞納に関する法的手続きや追跡調査を保証会社が担うケースもあります。
家賃のクレジットカード払い・自動引き落としを導入する
支払い方法の工夫も滞納防止につながります。例えばクレジットカード払いや自動引き落としを導入すれば、入居者の単純な支払い忘れを防ぐことが可能です。
決済の仕組みが自動化されていれば、結果的に支払い能力のある人が優先的に入居する流れとなります。オーナーにとって、少なくとも家賃面では安心できる環境となるでしょう。
トラブルに強い不動産管理会社に委託する
家賃管理業務を行っている不動産管理会社に委託する方法も効果的。不動産管理会社を利用すれば、契約手続きから家賃督促、トラブル対応までをトータルで委託できるため、賃貸運営に関するオーナーの負担は大幅に軽減されます。
特に、法的知識や交渉力に長けた管理会社を選べば、万が一の際には適切かつ迅速な対応が期待できます。
家賃滞納トラブルは早期対応と専門家への相談がカギ
家賃滞納は、時間が経てばたつほど回収が難しくなっていく深刻な問題。一刻も早い対応が必要となることは間違いありませんが、仮に滞納状態のまま退去されてしまったとしても、正式な法的手続きを取ることで過去の滞納分を請求することは可能です。
法的手続きには専門知識が必要になることから、弁護士への相談は必須。決して泣き寝入りせず、必ず滞納分を回収しましょう。
家主様の味方です
家主様の相談を受ける
赤坂見附法律事務所では、私・水田 匡之が不動産賃貸関係のトラブル(家賃滞納、契約違反)を積極的に取り扱っております。
賃貸借契約は貸す側・借りる側双方にとって重要性が高く、かつ関係が長期間継続することもあります。
その結果、トラブルが生じた場合の損害・影響は大きく、他の分野に比べても、迅速・適切な解決が求められます。
ぜひ、家賃滞納でお困りの家主様はご相談ください。
家主様による相談は無料です。全国で最短翌日対応しておりますので、ご安心ください。