建物明渡請求に関する弁護士や司法書士などの専門家
建物明渡請求訴訟について相談できる専門家として、弁護士や司法書士が挙げられます。それぞれの役割と業務範囲を理解し、状況に応じて適切な専門家を選びましょう。
建物明渡請求プロセスごとの専門家
建物明渡請求の各プロセスにおいて、どの専門家に依頼できるかを見ていきましょう。
初期の相談・書類作成
- 依頼できる専門家: 弁護士、(一部)司法書士、(一部)行政書士
- 内容: 訴訟前の準備段階。訴訟手続きの流れや必要な書類について相談します。訴訟手続の相談は、原則として弁護士がよいでしょう。書類作成のみであれば一部の司法書士や一部の行政書士も対応は可能ですが、これらの専門家も、訴訟には詳しくありませんので、近くに弁護士がいない場合など、例外的な場合にのみ依頼するとよいでしょう。
訴訟手続
- 依頼できる専門家: 弁護士、(一部)司法書士
- 内容: 訴状、主張書面、証拠書類等の提出や、法廷での口頭弁論など。弁護士は代理人としてすべての訴訟手続を代行できます。訴訟の前の民事保全手続(仮差押え、仮処分)も代行可能です。
- 注意点: 司法書士は、訴額140万円以下の簡易裁判所での訴訟のみに限り代理人となることができます。
和解交渉
- 依頼できる専門家: 弁護士、(一部)司法書士
- 内容: 弁護士は借主との和解を仲介し、双方が納得できる条件を交渉します。規模が小さければ、司法書士も代理人となることができます。
強制執行手続き
- 依頼できる専門家: 弁護士
- 内容: 強制執行手続を行うことができるのは、家主自身か代理人となる弁護士のみです。弁護士は、強制執行の申立て、執行官とのやり取りや現地での手続きを代行します。
弁護士と司法書士の基本的な違い
弁護士と司法書士はどちらも法律専門家ですが、職務範囲や権限に違いがあります。
- 弁護士: 法律全般の専門家で、訴訟の代理、交渉、書類作成など、あらゆる法律問題、法的な紛争に対応できます。高額な損害賠償請求や複雑な紛争も扱えます。
- 司法書士: 主に登記の専門家です。不動産登記や商業登記が主たる業務で、紛争がある場合は原則として対応できません。なお、認定司法書士であれば、訴額140万円以下の民事案件に限り、限定的な代理権を持ちます。
専門家を選択する際のポイント
適切な専門家を選ぶために、以下の点を考慮しましょう。
状況や手続きの複雑性
状況が複雑であったり、訴額が高額である場合は、弁護士を選ぶべきです。訴額が少額で簡易裁判所の範囲内で済む場合は、一部司法書士でも対応できる場合がありますが、そもそも司法書士は認定を得ていても訴訟(裁判)に慣れていない方が多いです。不動産自体が重要な財産であり、訴額が小さくても地方裁判所での裁判が適している場合もありますので、原則として弁護士と考えるのがよいでしょう。
法律知識と経験
特定の分野に精通した専門家を選びましょう。建物明渡については、民事保全、民事訴訟、民事執行と段階があり、それぞれ経験や知識があると迅速かつ的確な進行が可能です。その分野に実績のある弁護士に相談すると安心です。
費用と予算
依頼前に複数の専門家から見積もりを取り、費用と提供されるサービス内容を比較検討しましょう。弁護士費用は高額になることもありますが、そもそも実費(強制執行の撤去・運搬、保管、廃棄の費用など)も相当額がかかりますので、そうした費用を詳しく説明できる弁護士が信頼できます。明渡案件は、費用を抑えることももちろん必要ですが、速やかに解決して新たに入居者を募集することが、最も重要な被害回復となります。迅速な解決という観点から検討しましょう。
その他
建物明渡は、実費も相当掛かります。退去が早期に実現できれば、その分新たな賃料収入を早く得ることができます。費用を抑えるために安易に自己解決を試みたり、不適切な専門家に依頼したりすると、かえって時間や手間、精神的な負担が増え、結果的には経済的にも損失が拡大する可能性があります。
すべてをトータルで任せて時間や精神的な負担を減らしたい場合は、弁護士に依頼することが最も有効です。
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